すべてのパス・アンプと同様に、技術と構造は厳密なリスニング経験に基づいています。『INT-25』は、すばらしい測定結果を示します。素晴らしいスペックを持つ製品がしばしば無味乾燥で退屈な音であることありますが、このアンプ『INT-25』は、音楽に新しい命を吹き込む事を約束します。
パワーアンプ部
パワーアンプ部には、2017年に発売されたPASSとFirstWattの両ブランドのコンセプトを融合させたA級ステレオ25Wパワーアンプ『XA-25』を採用しています。
多数のパワーMOSFETを使用した出力段、巨大なヒートシンク、大規模(マッシブ)な電源回路、これらはPASS Labsインテグレーテッドアンプ/パワーアンプのコンセプトと言えます。それほど大きくない筐体サイズのステレオA級インテグレーテッドアンプで産業用パワーMOSFETをシングルプッシュプルで使用し最大出力を抑え、よりシンプルなシングルエンド回路構成を特徴としています。
フロントエンド回路は、2組のコンプリメンタリーFET(NOS=New Ols Stock)を採用し、カレントフィードバック(CFA)構成のコモン・ソース・モードで動作します。さらにダイレクト・カップル方式でDCサーボと周波数補正を用いない設計になっています。
新たな700ワット/40アンペアの能力を有する産業用パワーMOSFETを用いた出力段は、片チャンネル1ペアのコンプリメンタリーによるシングルプッシュプル構成になります。
FirstWattのアンプを彷彿させる信号経路のパーツ数の削減が大きな特徴になります。これはカレントホギング(1つのトランジスタに電流が集中する現象)からの解放と新しい定電流バイアス回路は、温度ドリフトを解消します。歪みの最小化と高ダンピングファクターを得るため、出力素子はソース抵抗を介さずに直接スピーカーターミナルへ接続されます。
プリアンプ部
プリアンプ部は、『INT-60(AB級ステレオ60Wインテグレーテッドアンプ)』で使用されている回路をベースとして、シングルエンド入力に特化したよりシンプルな回路構成となっています。プリアンプ部のドライバー段に採用された高入力インピーダンスJFETによって6dBのゲインがバッファーされ、ボリューム回路へ送られます。その結果、アッテネーター歪みは0.001%以下を実現しています。シンプルなゲインステージによりスピードと安定性が向上し、より高バイアス電流で出力素子を動作させることを可能にし、より純粋なクラスA動作を実現しました。
この新しいインテグレーテッド・アンプに搭載されるプリアンプ回路設計は、スレッショルド時代から製品開発を行っているパス・ラボ立ち上げメンバーでもある、プリアンプ・デザイナーのウェイン・コルバーン氏(WayneColburn)が担当してします。彼は現在のパス・ラボにおいてプリアンプの設計を一任されています。いつでも測定値の良いアンプを作成することは可能です。しかし、耳に優しいアンプは簡単ではありません、そのため、パス・ラボ製品の最終テストは我々の耳で行われます。その重要な基準として、音楽性の再生に重きをおいています。この価値基準は、パス・ラボの長年にわたる成功の基礎となっています。音楽ソースから素晴らしい喜びを最大に引き出す可能性を我々はいつも提供していきたいと願っています。