JSD VMは、半世紀にわたりレコーディング・スタジオでの検聴用やブロードキャスト標準カートリッジとしてその代名詞でありつづけてきたEMTが、サファイアカンチレバーを採用した3機種目のJSDシリーズステレオカートリッジです。JSD VMは、個人の嗜好に合わせた、再生音や機器の微妙な調整(ファインチューニング)を追求するオーディオファイルに向けて設計され、アナログオーディオ再生の喜びをひときわ鮮やかに拡大します。
伝統的な EMTテクノロジーを基準にデザインされ、ありとあらゆる新旧のレコードにより膨大な試聴を繰り返して練り上げられました。ステレオ初期から最新のアナログディスクまでそこに刻まれた情報を余すことなくピックアップします。1/2”標準マウント仕様で、ユニバーサル・トーンアームにも、固定ヘッドのセミインテグラル型トーンアームにも使用可能です。広帯域に渡るダイナミックス、輪郭とボリュームに優れた中低域、自然で倍音成分の美しい中高域、そして漂うような空気感の最高域。サウンドの確かさで絶大な信頼度をもつ EMTフォノカートリッジです。
特徴
- White Sapphire カンチレバー / MR(マルチラディアス)=ダイヤモンド多面カット精密研磨スタイラスチップ
スーパーアナログ再生の頂点を求めて EMT Studiotechnik GmbHが新たに開発した JSD VM。EMT独特の長いカンチレバーにはレゾナンス性能に優れた White Sapphire/ホワイトサファイヤを採用、さらにアルミスリーブによる特殊構造です。チップはMRスタイラスをカンチレバー軸上先端の斜カット面に装着しています。MRスタイラスは精密研磨仕上げされ、スムーズに安定した正確なトレースパフォーマンスで、古いレコードから新しいレコードまで最新のEMTサウンドで対応いたします。ホワイトサファイアカンチレバーとダイヤモンドスタイラスの加工は工芸的な美しさと高度な加工技術を誇る西ヨーロッパ地域で作られています。
- 出力1mVの高性能発電系
EMT独自の高性能な発電系は、MC 型ならではの低い内部抵抗と、1mV(5cm/sec.1kHz)におよぶ高出力を矛盾なく両立させています。アナログオーディオの味わいを存分にお楽しみいただけるEMTだけの音。パワフルなエネルギーとデリケー卜なニュアンス、澄みきったローレベルの再現性は、変換ロスのきわめて少ない高効率発電によって達成されています。
- ハイグレードアルミムク材の剛体化ハウジング
JSD VMは、ダイカストアルミの頑丈で精密なボディハウジングに、より進化したムービングコイル・システムを組み込み、不要共振を排除、格詞高く鮮麗な音質を得ることができます。JSD VMは、ハイグレードアルミニウム筐体・ブラック仕上げで作られています。
- 12.7mmピッチのEIA標準マウント仕様
剛性をそこなわず、へッドシェルと強固に一体化するよう、ハウジングには取付けビス用のタップ穴が設けられています。取付けピッチは通常のカートリッジと同じ12.7mm。ヘッドシェルの天面側から、ビスだけでだけで簡単・確実に固定できる構造です。(ネジ穴径は2.5mmφ、日本規格の2.6mmφビスは使用不可)
- 伝統の高品質, 実測データ付
従来のスタジオカートリッジと同じ業務用基準で、すべてのJSD VMはひとつひとつ厳密に調整され、測定データ付で出荷されます。長い年月にわたってEMTが培い、誇りとしてきたプロフェッショナル仕様の信頼性は、オーディオと音楽愛好家の皆様にも充実した再生能力をお約束します。EMTカートリッジの歴史はアナログレコードの歴史でもあります。JSD VMは録音意図に正確で優れた再生能力を発揮し、アナログレコードサウンドの更なるステップを実感していただけるでしょう。
インサート
JSD VMは、3つの異なる質量(重量)のインサートを標準装備しています。これらのインサートを、付け替える事で、自重を9.9g、10.2g、11.3gの3種類に可変できます。これら3種類のインサートによる自重の変化は、トーンアームの共振周波数に影響し、柔軟且つ効果的なファインチューニングを可能にしています。加えて、3種類のインサート素材の違いによる音質キャラクターの変化を実感できます。また各インサートでの少し異なったサウンドステージも実感できます。
- 自重(低密度木製インサート/WOOD insert) … = 9.9g
再生音は、ほんの少し甘く丸みのある傾向です。バイオリンや、ブルースのトーンに非常にマッチします。
- 自重(中密度レッドインサート/RED insert) … = 10.2g
再生音は、非常にナチュラルどんなジャンルの音楽にもマッチします。
- 自重(高密度ゴールドインサート/GOLD insert) … = 11.3g
再生音は、レッドインサートと比較するとローエンドにパンチが加わる傾向でどんなジャンルの音楽にもマッチします。